島原市の海岸沿いにある湊新地は幕末、島原藩主の命によって築かれ、明治の日本の近代化とともに花街として栄えた場所でした。
島原藩が終焉を迎え、城が解体されたこの時期に、藩主の最後の大事業として城内から湊新地に移築された米蔵が今なお現存し、カフェとして営業しているというのが、今回ご紹介する『升金の倉(ますきんのくら)』さんです。
明治のはじめに移築されたこの倉は、のちに船具店となり、明治から昭和へと激動の時代を越えていく中で船問屋、そして、石油屋を営むまでに移り変わっていくこととなったのですが、いつしかこの湊新地にも静かなまどろみの時代とともに忘れ去られ、取り残されていったのです。
やがて平成の時代、そんな倉に再びリノベーションの波が押し寄せます。築140年以上を経ても、石油屋の時代に積み上げられたドラム缶の壁に守られ、朽ちることなく残ったこの倉がリノベーションされ、カフェになったのです。
湊新地といえば、海鮮が食べられる『漁人市場とっとっと』が有名ですが、その向かいにあります。
カフェの入口には暖簾が下げられ、入口にはこのような看板がありました。そして、玄関から中へ入ると、倉が移設された当時を思わせる船具などがあります。
向かいには倉の歴史についての説明書きがあり、右手に階段があります。
カフェはこの階段を登った2階にあります。
階段を登ると、窓際にカフェが設けられています。
訪れたのは平日の昼過ぎにも関わらず、お客さんで賑わっていました。
倉の歴史を語りかけているような、大きな松材の梁は圧巻の貫禄があります。
窓からはのどかな港の風景を眺めることができます。
ランチは14時までとなっているそうで、ギリギリ間に合ったので今回は牛すじカレーをオーダーしてみました。
まずは薬膳茶とお漬物がでてきます。薬膳茶はクセがなく、ほうじ茶のような少し香ばしく、やさしい風味のお茶でした。
そして、牛すじカレーはお吸い物つきとなっています。
牛すじがゴロゴロ…といった感じではなく、煮こまれてトロトロになった牛すじがカレーの中に入っている感じ…
添えられている揚げ野菜がオシャレな一品です。(逆光でスイマセンw)
升金の倉さんでは雑貨も取り扱っています。
マグカップは取っ手の部分が動物のしっぽをかたどったユニークなものがあったり、倉の主だった升金が船具屋をはじめる以前に手がけていたロウ製造にちなんだとみられる和ろうそく、そして、おしゃれでかわいい柄の手ぬぐいなど、和のテイストのものが中心となっています。
こちらのカフェは夕方までの営業なので、ランチタイムや昼下がりのカフェタイムに利用すると良さそうです。
島原ののどかな港の風景を眺めながら、ゆっくりと時間を過ごせそうなカフェですね。